訪問リハビリのやりがい②
訪問リハビリは、医療保険、介護保険ともに利用ができる仕事です。
したがって、医療保険のことも介護保険のことも知識として知っておかなければいけません。
病院で働くセラピストはどちらかというと医療的知識ですが、特に点で深く考えたい、マニアックにミクロな視点が多い印象です。
セラピストは、脳血管疾患、整形外科疾患に関わることが多いのですが、自分の専門外のことに疎く、神経難病、がん、呼吸循環や精神疾患などのことをあまりよく知らずに取り組んでいる方が多いと思います。
看護師や医師では広く一般的な医学的知識も、セラピストはなにも知らない。また、10年経ってもオムツ交換すらしたことないセラピストも多いです。生活の中でケアマネが気にしていること、マンパワーや経済面といった部分を、セラピストは把握できないこともあります。
スペシャリストではなく、ジェネラリストを目指せ、とは学生時代に恩師の言葉ですが、最近になってなるほどと思うようになりました。
例えば、下肢の筋緊張が高く、歩けない患者さん・利用者さんがいたとします。
パーキンソン病?神経難病?
脳卒中の後遺症?
電解質異常?
頚椎損傷の痙性麻痺?
脊柱のがん?
歩けないのは筋緊張のせい?覚醒?
仮説を立てる時点で選択肢を出せない方もいます。選択肢がいくらか上がったとしても、その疾患である確率はどうでしょうか?
総合力とは、どれだけこの多くの仮説が立てられるか、これらをある程度まで鑑別できる評価能力があるかどうかです。
在宅の中で得られる医学的な情報は、
①バイタルサイン
②フィジカルアセスメント
③各種動作分析
④各種スペシャルテスト
⑤既往歴・受診歴の問診
⑥血液検査データ
⑦お薬手帳
⑧CM、看護師、医師からの情報
くらいしかありません。
その人にとってなにが一番かを疾病や生活全てから絞り出し、介入することが必要です。そのため、自分には対応できなくても、必要関係機関へ紹介できる行動力があればいいんです。
異常な筋緊張に疑問と緊急性を感じたら、専門分野の医療機関に紹介や受診を勧められればいいんです。
手すりが1つあれば自立できるなら、動作指導も徒手的なセラピーも必ずしも必要ありません。ケアマネと福祉用具業者へコンタクトがとれればそれでいいんです。
高齢者の複雑な疾病の重複や生活背景も含めて、一個人をマネジメントするにあたり、疾病も生活もバランスよく見ることができるセラピストはコーディネートに適任と考えています。